自律神経失調症には鍼灸治療がオススメ!

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こんにちは。鍼灸マッサージ師のいしわたです。

春になると花粉症や寒暖差などのアレルギーや、新しい環境の変化など、精神的にも肉体的にもストレスが溜まりやすい季節だと思います。またこのような季節の変わり目は、自律神経が乱れ体調不良に陥りやすく、またギックリ腰などにもなりやすい季節ですので注意が必要です。

そこで、今回は自分の治療において得意としている「自律神経失調症」について書いていこうと思います。自律神経失調症は、主にストレスと生活習慣の乱れが原因となっています。また病院などで受診をしても「検査結果では異常がない」と相手にしてくれないケースも多いのが特徴です。

このブログでは、まず自律神経・自律神経失調症についてご理解いただき、どんな予防や対策が良いのかを書いていきますので、ぜひご参照ください。

目次

1、自律神経とはどんな神経のこと?

1−1、自律神経とは?

生命を保つために必要な機能の微調整を自動的に行なっているのが自律神経人間が自分の意思で動かしたり止めたりできない部分の動きをコントロールしています。私たちの身体には、頭の先からつま先まで神経が張り巡らされていて、脳内での情報や、脳から身体の各器官への指令を伝えています。

その中で、脳と脊髄で構成される神経ネットワークの事を「中枢神経」といい、脳・脊髄から出て、全身の各部位をつないでいるのが「末梢神経」です。自律神経は、この末梢神経に属しています。自分の意志とは無関係に臓器や器官の微調整をしています

「自律神経」には「交感神経」と「副交感神経」の2つがありますが、同じ器官に対して反対の作用を行う事で全体のバランスをとっています。なお、器官の中には、自律神経と体性神経の両方の働きを受けているものもあります。たとえば、呼吸。意識して呼吸を止めたり深呼吸することができます。

1−2、自律神経は視床下部によってコントロールされる

視床下部は、自律神経の中枢であるだけでなく、ホルモン系、免疫系の機能調整と通して身体の恒常性(ホメオスタシス)を保っています。ホメオスタシスとは、外部の環境変化に対して体内の環境をいつも一定に保って生存を確保しようとする働きです。たとえば、暑い時に汗をかいて体温調節を行なったり、水分が必要になると喉が乾いて水分補給をする、というよな行為を考えてみてください。

不規則な生活やストレスが続くと、視床下部に混乱が生じてしまい、自律神経のバランスが崩れてしまいます。また、自律神経の乱れは免疫機能やホルモン分泌にも影響します。その逆もあります。精神的な負担や感情の抑制が、自律神経に影響を与えて起こる場合があります。自律神経の中枢である視床下部は、動物が生きていくうえで必要な本能的な行動、生理的な快、不快などの感情を司っている大脳辺縁系の影響を強く受けています。さらに、大脳辺縁系は、理性や理論的な考え方で判断する大脳新皮質による支配を受けています。

つまり、私たちは理性と本能という相反する2つの感情のバランスをとりながら毎日暮らしていると言えます。しかし、何か本能的な喜怒哀楽に関わる出来事が起こった時に、理性が強く働いて感情を抑制してしまうと、大脳新皮質と大脳辺縁系の間にひずみが生まれて、情報がうまく伝わらなくなります。大脳新皮質→大脳辺縁系→視床下部→自律神経→各器官)

その結果、たとえば「つらい」「泣きたい」「食べたい」などの感情が不自然に処理されて伝わるため、視床下部は自律神経をうまくコントロールできなくなり、やがて自律神経失調症が起こると考えられています。長期にわたってストレスが続くと、交感神経はずっと興奮したままになってしまい、副交感神経との切り替えがうまくいきません。そのため視床下部の管理機能がうまく働かなくなり、自律神経のバランスが乱れていくと考えられています。

1−3、交感神経と副交感神経の違い

  • 「交感神経」
    一言でいうと「興奮と運動」です。特徴としては、血圧の上昇、組織への血流増加、細胞代謝や血糖値の上昇など、全身に作用しエネルギーを消費する方向に働きます。また、ストレス状態に対応する働きもあります。車に例えるとアクセルの役目を果たしています。
  • 「副交感神経」
    一言でいうと「安静と回復」です。特徴としては、消化吸収が高まり、循環器系は抑制され、エネルギーが蓄積されます。交感神経はストレスに対応しているのに対して、副交感神経は安静状態に対応して働くことができます。車に例えるとブレーキの役目を担当しています。

2、自律神経失調症とはどんな疾患?

2−1、自律神経失調症の症状と特徴

自律神経失調症になると、自分では特に思い当たる事がないのに、疲労やだるさを慢性的に感じ、身体の各器官に様々な不調が現れます。また多くの場合、気分の落ち込みやイライラなどの不快な精神状態に悩まされる事になります。

自律神経失調症の症状は、千差万別で人によって実に様々です。一つの不調が長く続く人もいれば、突然消えたかと思うとまたぶり返すといったように不安定な場合があります。さらに調子の悪い部分が複数の器官に現れたり、次々に新しい器官に移っていく事があり、多彩な症状に振り回される事も少なくありません。

これは自律神経失調症が、その人の体質や生活習慣、性格などと深く関わっていて、不調が弱い部分に出る傾向があるためです。各人の悩みやストレスの度合いによっても、症状は変わってくると考えられています。なお、自律神経失調症のこのような特徴は、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなかったり、視床下部のコントロールの乱れによって起こります。自律神経は全身の様々な器官に張り巡らされているため、その症状も姿を変えて、全身のあちこちに現れるのです。

頭部  頭痛・片頭痛
 涙目・目の疲れ・異物感
 耳鳴り・異物感
 味覚異常・口が乾く・唾液が溜まる
のど  異物感・圧迫感
食道  飲み込めない
 首が痛い・回らない
 肩がこる・張る
心臓  動悸・圧迫感・胸が痛い
 息苦しい・息切れ・呼吸の乱れ
背中  背中が痛い・腰が痛い
消化器  下痢・便秘・吐き気・食欲不信
腹部  膨満感・下腹部の張り・ガスが溜まる
手・腕  シビれ・脱力・けいれん・冷え
膀胱  頻尿・残尿感・尿が出にくい
生殖器  生理痛・不順・インポテンツ・かゆみ
 だるさ・冷え・シビれ・痛み
筋肉  強張る・関節痛
皮膚  かゆみ・感覚が鈍い・多汗・無汗

 

 

 

 

2−2、自律神経失調症になりやすい人

自分が自律神経失調症であるかどうかのチェックを以下のリストを参考にチェックしてみてください。これらに当てはまる数が多ければ、自律神経失調症の疑いが濃いと言えます。この症状になりやすい人の性格は、要チェックです。

2−3、自律神経失調症になる主な3つの原因

自律神経失調症は、主にストレスによる心理的な負担や不規則な生活習慣、体質あるいなどが影響して自律神経機能のバランスが崩れるために起こります。

心理的な負担は心のストレスに、不規則な生活習慣は身体にとってストレスになるものです。別な言い方をすると、自律神経失調症は、心と身体が受けたストレスに自律神経が過敏に反応している状態という事ができます。

①ストレス

ストレスは、主に身体的ストレス精神的ストレスに分けられます。

また、一方でストレスといえば、ハンス・セリエのストレス学説が有名です。セリエは、ストレス反応を起こす原因として以下の4つをあげています。

  1. 物理的ストレッサー(寒冷・放射線・騒音など)
  2. 化学的ストレッサー(薬物・化学物質など)
  3. 生物的ストレッサー(炎症・感染・カビなど)
  4. 精神的ストレッサー(怒り・緊張・不安・喪失など)

②生活習慣の乱れ

夜中に活動して日中は寝ている、夜勤などで寝る時間が一定しない、食事の時間がいつも違う、こんな生活を続けている人の身体はストレスだらけです。

人間の身体は昔から、日の出と共に起きて活動し、夜は眠るという生活を送ってきました。ところが現代社会では本来人間に備わっている生体リズムを無視した生活を送っている人が少なくありません。連日の徹夜や昼夜の逆転生活、暴飲暴食、こうしたことを長く続けていると、自律神経のバランスは徐々に崩れてきます。社会のスタイルは変わっても、人間の生体リズムや自律神経の働くメカニズムは変わっていないからです。

本来、副交感神経は人間が休息する夜に働き、交感神経は日中に活発に働くようになっています。夜型の不規則な生活習慣によって、大脳皮質は「活動中」という情報を伝えるため、生体リズム、自律神経をコントロールする視床下部に混乱が生じます。短期間なら問題ないのですが、不規則な生活が長く続いてしまうと自律神経は脳からの情報をコントロール仕切れずにやがて暴走し始めます。そのため、夜型人間は特に自律神経失調症になってしまう人が多いのです。

③体質・性格

ストレス源が日常にあふれていても、誰もがストレスを感じる訳ではありません。内的要因として、性格、気質、体質など、個人ごとに異なるストレス対処能力が関わっています。例えば、何か失敗した時に「起きた事は仕方がない。次に頑張ればいい」と気持ちの切り替えができればストレスになりませんが、いつまでもクヨクヨと考えていたり、強い責任感に悩まされてしまうと、しこりとなって残ってしまいます。

つまり、同じストレス状況に直面しても、それをストレスと感じるかどうかは人それぞれです。性格や気質の他、その日の気分や体調によっても受け止め方が違ってきます。

<自律神経失調症になりやすい性格>

①真面目で責任感が強い完璧主義 ②几帳面・潔癖症・神経質 ③人の目を気にしすぎる ④周囲の人に合わせやすい ⑤人前で緊張しやすい ⑥人付き合いが苦手 ⑦気分転換が下手 ⑧頑固で融通がきかない ⑨イライラしやすい・怒りっぽい ⑩感情を表現できない

2−4、自律神経失調症を東洋医学で考えると

東洋医学では、病気になる原因として、「内因」と「不内外因」という考え方が存在します。詳細については、以前書いた「東洋医学の診断・診察となる「病因」と「四診」のメカニズム」の記事をご参照ください。

東洋医学では、「怒り・喜び・思い・憂い・悲しみ・恐れ・驚き」の七つの感情を七情と呼びます。この七つの感情は、普通であれば病気の原因になりませんが、強い感情の変化が急に起こったり、強過ぎたり、長く続いたりすると、病気の原因「内因」となり、身体に悪い影響を与えます。

それぞれの感情は、五臓と関係しているため、「怒りが激しすぎると肝、喜びが大き過ぎると心」など、特定の五臓を痛めて、不調を招くことがあります。現代医学のストレス理論や心身医学が現れる数千年も昔から、東洋医学では心身と病気の関係が注目されていたのです。

;過剰な悲しみと憂いは、呼吸器の働きに影響を与え、気と水の流れを妨げる
;激しい怒りは肝を傷つけ、気と血が上昇して頭痛やめまいなどの症状が起こる
喜び過ぎると気が緩み、集中力が低下したり不眠になったりする
思い悩み過ぎると脾の働きが弱くなり気は停滞。食欲不振、腹痛、やる気も低下する
;過度な恐れは、気を下げて腎を傷つけ、失禁してしまう。また、極度の驚きは気が乱れる。動悸や不眠、精神不安定などの症状が出る。

3、自律神経をバランスよく整える方法

3−1、自分でできる予防・対策

自律神経失調症を防ぐには、生活のリズムを自然のリズムに同調させることが、一番の早道です。

①睡眠

生活リズムを整える基本となるのは、正しい睡眠の取り方です。まず、就寝・起床時間を一定にすることが大切です。日によって起きる時間と寝る時間がバラバラでは、当然毎日の生活リズムは乱れてきます。昼間の疲れが十分取れるような良質の睡眠が取れるのは、夜の22時から夜中の2時までとされています。この時間帯が含まれるように就寝時間を決めましょう。その日のうちに床に就くのが理想です。

②入浴

38〜39℃のぬるめのお湯に、10〜15分ほどゆっくりとお湯につかります。この場合、熱いお湯は交感神経を刺激してしまうため、逆効果になるため要注意です。なお、首まで湯船につかってしまうと、のぼせて疲れてしまうので、胸から下が、お湯につかるぐらいにしておきましょう。お風呂を出る際に肩までサッとつかるようにすると良いです。

③食事

毎日の生活リズムを整えるためには、一日3回の食事を一定の時間に取ることがとても大切です。ストレスに対する耐性を強めるために、タンパク質とビタミンCやビタミンB1の多い食品をとることを、特に心がけてください。特に朝食はしっかり取りましょう。睡眠中は副交感神経が働いて体温と血糖値が下がります。朝食を取れば、それらの値が上昇して知的活動が活発になり、1日をスムーズにスタートさせることができます。忙しいときでも、一食抜いたり、決めた時間以外に食べないように気を付けましょう。リズムが崩れ、健康にもよくありません。

④運動

適度な運動は、自律神経の働きを整えるのに大変役立ちます。運動の種類はなんでも構いませんが、散歩やウォーキング、ジョギングなどが気軽にできておすすめです。自律神経失調症の治療に運動を取り入れる時は、無理をして度が過ぎないようにする事がコツです。好きな運動を選び、週に2〜3回のペースで疲れが残らない程度にするのが最良の方法だと思います。

3−2、鍼灸治療

私の治療のベースとなっているのは「長野式治療」で、今や日本だけでなく世界中にも普及していて、とても即効性があり魅力のある治療法です。(長野式治療の詳細については、別記事で説明します)

この長野式治療の基本的な考え方は、「私たち人間が本来備えている「自然治癒力」を阻害する原因を突き止め、除去・改善することで、「自然治癒力」が自から高まり、スムーズに働き、様々な症状が治癒へと向かっていく」ということです。

そのため、自律神経失調症でも、まず脈診・腹診・手足のツボ・首や肩、頭など全身を全てチェックし、その方の自然治癒力を阻害している要因を突き止め、除去・改善していきます。
そして、その方の身体状況に合わせた自律神経調整のツボを組み合わせて治療していきます。

自律神経失調症の患者さんは、実際に脈やお腹が緊張していることが多いため、鍼灸治療は身体が緊張しないよう弱めの心地よい刺激で行います。実際、治療中に緊張している身体が鍼を刺しているうちに副交感神経が高まりリラックスされるせいか、いびきをかいて眠ってしまう患者さんが多く見受けられるほどです。自律神経失調症にはぜひ一度鍼灸治療を受けていただくことをおすすめします。

4、まとめ

いかがでしたでしょうか?

現代のストレス社会では、自律神経失調症になっている方やなりかけの方は非常に多いのではないかと思います。東洋医学では、病になる前の状態を「未病」と呼んでおります。風邪や病気になる前の予防が大事なように、東洋医学ではこの「未病」という状態で治療をするのが、最も得意で大切と昔からいわれています。その事を「未病治」と言います。

どんな仕事、生活をされていても、身体が資本だと思います。あの羽生結弦くんが平昌オリンピックの試合後のTVのインタビューでも「やっぱり健康第一ですね!!」と話していたのが印象に残りました。

年齢を重ねると今までなんでもなかったことが身体にも少しずつ影響を及ぼしてきますので、不調を感じ始めたら是非お身体をいたわっていただき、その対策として鍼灸治療を受けていただければ幸いです。

それではまた!!