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腰痛・ギックリ腰

このような症状で悩まれてませんか?

長時間パソコン作業をしている
✅椅子から立ち上がるとき腰が辛い
✅腰が痛くて靴下がはけない

✅朝起きると腰が重い
✅足がしびれる
✅寝返りすると腰が痛い
✅歩くと腰が痛くて姿勢が曲がる
✅ストレスがあるといつも腰にくる
✅生理の時に腰が重だるくなる
✅マッサージや整体ではすぐに元に戻ってしまう
✅整形外科に行っても湿布や痛み止めで根本的な解決にならない

デスクワーク業務で長時間パソコン作業をしたり、前かがみの姿勢での作業や重い荷物を運ぶなど、日々の生活で腰に負担がかかり、「腰痛」に悩んでいる方は非常に多いのではないでしょうか?腰痛は二足歩行を行う人類の宿命的愁訴であり、腰痛の生涯罹患率は約70〜80%といわれています。
また、ある日突然生じる「ギックリ腰(急性腰痛)」もとても辛い症状で、別名「魔女の一撃」といわれ、突然激痛が走り動けなくなることがあります。

そんなお辛い「腰痛」・「ギックリ腰」も鍼灸や指圧マッサージなどの治療によって改善できることもあります。
今回は「腰痛」・「ギックリ腰」のメカニズムや治療ポイントについてご説明いたします。

1、腰痛とは?

腰痛とは、「種々の原因により腰部、あるいは腰から下肢に痛みを有する症状」のことを言います。腰痛のタイプには種々ありますが、症状発生の経過からみれば、急性に発症する「急性腰痛(ギックリ腰)」と慢性に発症する「慢性腰痛」があります。

1、急性腰痛(ギックリ腰)

体位の変換、荷物の挙上などにより、急に激痛を訴えるもので、腰の運動が不能になる激症も少なくありません。代表的な疾患では「椎間板ヘルニア」があげられますが、筋筋膜性腰痛や椎間関節の捻挫、靭帯の過伸展、靭帯断裂などもそれ自体の損傷によって急性の腰痛になります。また、内臓疾患による急性腰痛もあります。

2、慢性腰痛

その原因は多岐に渡っていて、脊柱や関節に関する腰痛は極めて多いです。また軟部組織(腱、靭帯、筋膜、皮膚など骨をのぞく)の障害も慢性腰痛として症状を現しますが、内科、泌尿科、婦人科などの内臓疾患による慢性腰痛もしばしばあります。

2、腰痛の原因

腰痛をきたす疾患を原因から分類すると以下の疾患があげられます。ただし、正確な診断名がつかない原因不明の腰痛症(非特異的腰痛)は、非常に多く存在し、腰痛の約85%といわれています。

疾患分類 疾患名
椎間板 椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・椎間関節性腰痛など
脊柱の異常 脊椎分離症・脊椎すべり症・脊柱管狭窄症・脊柱側湾症など
軟部組織 筋・筋膜性腰痛など
加齢 変形性脊椎症・腰椎椎間関節症・脊椎骨粗鬆症など
炎症性 脊椎カリエス・強直性脊椎炎・椎間板炎・関節リウマチなど
外傷 (脊椎・腰椎)圧迫骨折・腰部捻挫・棘間靭帯断裂・腰部挫傷など
腫瘍 悪性腫瘍の骨転移・脊髄腫瘍・原発性骨腫瘍など
内臓 腎盂腎炎・腎結石症・胆石・胆嚢炎・消化性潰瘍疾患・前立腺炎・尿路結石・子宮内膜症・子宮筋腫・月経前症候群・月経困難症・便秘・糖尿病・胃下垂症・各臓器のがんなど
その他 自律神経失調症・更年期障害・帯状疱疹・腹部大動脈瘤・褥瘡・うつ病・心因性など

3、腰痛の主な疾患と特徴

腰痛をきたす疾患は数多く存在し、主な疾患を以下に示します。腰部を構成する椎体、椎間板、椎間関節、神経根、馬尾、筋などどこの部分に障害が生じているかによって症状が異なります。

疾患 疾患名  症状 好発年齢
腰椎椎間板ヘルニア 腰部椎間板の変性により、髄核の突出が神経根を圧迫している状態。L4ーL5、L5ーS1間に好発する。 腰痛と下肢痛。神経根障害レベルの下肢筋力の低下やしびれ。感覚障害など。 10代後半〜40代前半男性に多い
変形性
腰痛症
腰部椎間板の変性に基づく椎体周辺の骨変形と骨棘形成など 腰痛と下肢痛。神経圧迫の程度による感覚障害、筋力低下など。 40〜80代
腰部脊柱管狭窄症 腰部の脊柱管が圧迫され狭小した状態。馬尾神経や神経根圧迫による症状が出現。 腰痛と下肢痛。しびれ、冷感、違和感などがL5・S1領域に多く見られる。間欠性跛行(前屈姿勢で改善)。馬尾症状など。 50〜 80代高齢者に多い。
腰椎分離・すべり症 椎骨の上・下関節突起の間をつなぐ部分の連続性がなくなった状態を分離。上の椎体が下の椎体に対し前方に滑って移動した状態。L4、L5に発生することが多い。 分離のみでは、腰部の鈍痛や疲労感、臀部への放散痛。
すべり症を起こすと坐骨神経症状が出現することがある。無症状のことも多い。
10代〜70代
腰痛症
(非特異的腰痛)
正確な診断名がつかない腰痛症で最も多い。運動時あるいは安静時に腰部に痛みを感じます。 原則的に下肢症状を伴わない腰痛。筋筋膜性腰痛、椎間関節性腰痛、仙腸関節由来の腰痛などが混在する。 20〜50代

4、東洋医学からみた腰痛

東洋医学では「腰は腎の府」と見なされているため、腰痛の大部分は腎の機能変調と関連が深いです。また、風寒湿などの外邪の侵入、外傷などの後遺症などにおこる瘀血などが原因で「気」や「血」が滞れば腰背部の疼痛が出現すると考えられています。

1、腎虚の腰痛

腰部の鈍痛、膝の脱力・無力、膝の屈伸力の低下、痛みはしつこく持続します。労作により増悪し、安静により緩解します。慢性に経過し、繰り返し発症するなどがあげられます。

2、寒湿の腰痛

寒冷と湿気という邪気によりもたらされる腰痛です。寒冷による腰痛は腰が冷え、腰から下肢の筋肉がこわばり、温めると軽減し、寒冷により悪化する腰痛です。湿気による腰痛は冷水中に座っているような感じで、身体が重だるく、雨天や多湿の季節に増悪します。蒸し暑い梅雨の季節には湿熱の病態が出現し、イライラしやすく、腰痛はさらに増悪します。

3、瘀血の腰痛

腰部の外傷後の後遺症として現れることもあります。腰部に瘀血の特徴的症状が現れます。刺されるような腰痛が一定の場所に現れ、痛みは昼間は軽く、夜間は重く感じることがあります。慢性の経過を辿り、痛みは激しく、しびれ感が現れ、寝返りも困難となることがあります。

5、当院の腰痛治療の流れ

1、全身調整をして自然治癒力を高める

腰痛の原因や症状は人それぞれ体質や筋肉の状態・受傷歴など異なるため、腰だけを診るのではなく全身の状態をよく診た上で治療を組み立てていきます。
当院では、まず四診(問診・望診・切診・舌診)を行います。特に脈診や腹診は治療を組み立てる中でも重要な診察となり、これを行うことによって、患者さんの現在の状態を東洋医学的に正確に把握することができます。

これらの診察をした結果、患者さんの自然治癒力を阻害している要因も把握できるため、その阻害要因となる根本原因を取り除くためのツボを組み立てていきます。そしてまず腰から離れた手足のツボなどに鍼灸することで、より腰の症状が治りやすい状態にしていきます。逆にこの全身調整(根本治療)を行わないと元の症状に戻りやすくなってしまうため、非常に大切な治療となります。

2、腰痛の原因となる筋肉や関節などに鍼灸治療を行う

治療を始める前に、腰背部や殿部、下肢の筋緊張や圧痛部位などを確認し、姿勢や関節可動域・神経異常の有無など必要に応じて理学テストを行います。そして、腰痛の原因となる病態を把握し、腰下肢の症状の原因となる組織(筋・筋膜、椎間板、椎間関節、神経など)に鍼灸治療を行うことで、炎症や痛みを抑えて行きます。

3、指圧マッサージで更に血流を促していく

鍼灸治療だけでも効果は十分ありますが、鍼灸治療をした直後、腰痛の原因となっていた局所の筋肉は血流がよくなっており、よりほぐしやすい状態となっています。
そこで適度な刺激で指圧マッサージを局所や全身に行うことでより治療効果が期待できます。

ただし、急性腰痛(ギックリ腰)の場合など、患部に激しい炎症 や鋭い痛みなどがある場合は、局所のマッサージは逆に痛みが悪化してしまう場合があるため、その場合は患部を避けて周りの筋肉や神経などを刺激していきます。

4、ストレッチや体操などのセルフケア

治療を終えたあとは、ご自宅や職場などでも簡単に行える、その方に合った必要なストレッチや体操などをお伝えいたします。また、治療計画に基づきどのくらいの頻度・回数の治療を行うべきかきちんとご説明いたします。

6、腰痛の整形外科的(西洋医学的)治療法

治療法 内容
指導 患者さんの恐怖や不安を取り除く説明。腰への負担を避けるために日常生活上の注意点について指導します。
安静 急性期には、自分の疼痛の程度に応じて活動制限を加減することが望ましいため、腰に負担をかけない程度の安静を促します。
薬物 急性期には、解熱鎮痛薬や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の投与、あるいは筋弛緩薬との併用投与を行います。NSAIDsには経口剤、座薬、経皮吸収剤(湿布、軟膏)があります。慢性期や不安症状には精神不安剤や抗うつ薬の投与も行われます。
ブロック療法 急性期の激しい疼痛には硬膜外ブロックや神経根ブロックが患者の苦痛を和らげます。
コルセット 激しい疼痛が軽減したら、症例によっては軟性コルセットを処方します。これにより腰部の支持性を補強して腰部の負担を軽減します。
手術療法 馬尾障害を有する症例、急激に進行する運動麻痺、あるいは高度な堪え難い疼痛が持続している場合には手術の絶対的適応とされてます。髄核摘出術:腰椎ヘルニア。椎弓除圧術:脊柱管狭窄症。腰椎すべり・分離症:脊椎固定術など。
馬尾障害:両下肢の知覚障害・筋力低下・膀胱直腸障害(頻尿・尿失禁・便失禁・排尿困難・重篤な便秘)EDなどの性機能障害など。このような馬尾障害ががある場合には速やかに整形外科の受診を進めます。

(医学書院:標準整形外科学より抜粋)

7、まとめ

いかがでしたでしょうか?
デスクワークでの長時間のパソコン作業や腰に負担がかかる仕事など、現在社会では非常に多くの方が腰痛で悩まされています。様々な病態や原因などご説明してきましたが、原因不明とされているケースが約8割は存在しているのも事実です。痛みは脳で感じているため、ストレスなどの背景によって怒りが腰にきてしまったりすることもあります。最近の研究では心因性の腰痛が非常に多いとも言われています。

そのため、腰が痛いといっても原因を突き止めるのは容易ではありません。
私の二人の知人が以前、激しい腰痛で無資格者が主に在籍するリラクゼーションのお店にいったら、終わった直後ベッドから動けなくなり、救急車を呼んだというケースがありました。一人は腰の靭帯が急性捻挫を起こしており、一人は痛みで腰が「くの字」に曲がってしまいました。

このように、特に急性期のギックリ腰のような激しい腰痛には初期治療が非常に大事になってきます。正しい処置を迅速に行い、定期的なメンテナンスをすることで、慢性的な腰痛にならずにすみます。そのため、当院では腰の治療にもしっかりと時間をかけて問診や検査を行い病態をきちんと把握して治療を行なってまいります。腰が辛くなったらぜひ一度ご相談ください。