目次
患者さま情報
30代女性
ご来院の理由
浅草橋の治療院時代から月3,4回定期的にご来院されている。
主訴(最もお辛い症状)
背中の痛み(ギックリ背中)
症状について
昨晩歯を磨く際に、少し前かがみの姿勢をして咳こんだら、「バキバキ」という音とともに、鋭い痛みが背中全体に走った。一晩たっても痛みが変わらず、寝ている際も寝返りが痛くその都度目が覚めてしまった。前にかがんだり、腰をひねったりするのも痛い。真っ直ぐに立っていたり、歩いたり、まっすぐに椅子に座っている状態は痛みを感じない。急激な腰・背中の痛みは今回が初めてでとても不安。
所見(身体検査)
骨盤が前傾位(反っている)で、やや骨が前方にずれている(すべり症)状態。
前屈、後屈ともに背中から腰にかけて、鋭い痛みが走る。左右ともに動作時痛はみられるが、やや左側がお辛いご様子。
仙腸関節と背中の脊柱起立筋に圧痛も多数見受けられた。臀部から股関節にかけても圧痛点が多数存在している。
腰から下にかけてのしびれなどはなし。首や肩周りの緊張は強い。
診断内容
もともと季節の変化で自律神経を乱しやすい体質の方。特に今回は外気温の変化に対応できず、冷えた状態で咳こんだことで、急に背中の起立筋に緊張が走り、筋膜の動きがついていけず、筋膜に炎症が生じたと考えられる。また、反り腰の影響と首から腰にかけての慢性コリが寒さと運動不足によって緊張がつよいため、いつも以上に腰から背中にかけて広範囲に動作時痛が拡がったのではないかと考えられる。
そのため、今回は「筋筋膜性腰痛」と「椎間関節性腰痛」を併用したケースとして治療をすすめていく。
治療内容
急性の痛みに関しては、とにかく炎症と痛みをおさえ回復を早めていく必要がある。
そのため、今回はお辛い患部を中心に、鍼で首から足まで痛みと関連する経絡や圧痛点、動作時点に治療を行っていく。
結果
一回目の治療後は、前かがみの動作時痛は半減した。背中の痛みはほぼ治まったかが、やや腰の中心周りに動作時痛が残っているとのこと。二回目の治療(4日後)では、前回後は再発と寛解を繰り返してはいたものの、今朝になって不安感もなくなり、動きの痛みもほぼ嫌な状態は抜けられたとのこと。また背中の痛みは今回もなく、左側の仙腸関節付近が少し痛み、右のお尻周りから股関節が鈍痛がする程度とのこと。腰が楽になってきて、肩こりが気になり始めたとのこと。
背中と腰の症状は落ち着いてきたが、首肩コリが気になって早めに身体全体の緊張をとっていきたいとのことで、一週間後にご予約された。
考察
今回の患者様は、以前から自律神経失調症の治療を行っており、頭痛や不眠、食欲不振などの症状が多く見受けられていたが、ギックリ腰やギックリ背中のような症状はここ数年なかったため、患者様にとっては非常に珍しいケースであった。おそらく、コロナ関連で外出自粛やストレスなどもあり、運動不足や季節の変わり目なども重なり、起きてしまったケースなのではないかと考えられる。
ご本人も改めて、散歩などの運動の重要性やストレッチなどの柔軟性が大事であるということを実感されていた。
1月に入り、同様のギックリ背中、ギックリ腰が増加中であり、引き続き注意を促していきたい。