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なぜ痛みに鍼灸が効くのか? パート①
こんにちは。鍼灸マッサージ師のいしわたです。
臨床していると、よく患者さんから「鍼灸って何で痛みがおさまるんですか?」とか、「鍼灸って本当に効くの?」といったような質問をされる事がよくあります。そのため、鍼灸治療がなぜ痛みに効果的なのかを西洋医学・東洋医学的な視点から何回かに渡って説明していきます。
ぜひ参考にしてみてください!
鍼灸治療で身体の中にある鎮痛作用を促す!?
まず、痛みを止める方法はいくつかありますが、なぜ鍼灸をすると痛みが和らぐのか大きく分けると、、
「①身体の中にある鎮痛作用を促す方法」
「②①以外の身体調整作用」
に分けられます。この記事に関しては①について説明していきます。
①について、細かく分けて考えると、
1、末梢レベルの鎮痛作用(痛みが出ている所)
2、脊髄レベルの鎮痛作用(背骨の中にある脳から神経が通る所)
3、脳レベルの鎮痛作用
これら3つに分けられます。
1、末梢組織レベルの鎮痛作用(疼痛局所の治療)
1−1、免疫細胞による鎮痛
炎症があるところには痛みを抑制する物質を含んだ免疫細胞が多数存在します。鍼灸刺激によりそれらの免疫細胞が活性化し鎮痛が起こります。
1−2、ATP(エネルギー)による鎮痛
鍼灸刺激で微小の組織損傷が起こると、細胞からATPというエネルギーが漏出されます。その ATPが鎮痛物質を活性化させ鎮痛が起こります。
*ATPとは・・・アデノシン三リン酸と言われ、簡単にいうと身体のエネルギー物質。このエネルギーの存在によって、筋肉が動いたり、代謝が進んだり、その他体内の活動を行う事が可能になります。
2、脊髄レベルの鎮痛作用
2−1、ゲートコントロール説
障害のある脊髄神経と同じ支配エリアに刺激を行うことで、身体の中にある鎮痛作用を活性化させて、障害のある脊髄神経の痛みを抑えます。
例えばお腹が痛いときに、無意識にお腹をさすっていることはありませんか?痛いところをさすればさするほど、実際に痛みが軽減する経験をみなさんもした事があるのではないでしょうか?いわゆる「手当て」というのはこのメカニズムから生まれた言葉かもしれないですね。
3、脳レベルの鎮痛作用(全身性の鎮痛)
3−1、下行性疼痛抑制系
脊髄だけでなく、脳にも痛みを抑制するシステムがあります。
脳から脊髄を通り末梢に向かって(下行性)痛みを抑える鎮痛系という意味で、「下行性疼痛抑制系」と名付けられたそうです。
身体のあらゆる部位を刺激することで、脳の視床下部、中脳中心灰白質などという部位から鎮痛物質を放出させるメカニズムです。
また、脳の感覚野は四肢が大きなエリアを占めていることから、体幹部に行うよりも四肢末端に鍼灸を行う方がこのメカニズムを賦活させやすいと考えられています。そのため、肩や腰が痛くて手足に鍼を打つのはこういうメカニズムも利用しています。
3−2、広汎性侵害抑制調節
歯が痛いとき、手やほっぺをつねったりして歯の痛みを和らげようとした経験はないでしょうか?全身のあらゆる部位に刺激を加えることで痛みを抑制するメカニズムで、痛みで痛みを止める対抗刺激療法のメカニズムです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、鍼灸治療によって、なぜ痛みがおさまるのかを、
「①身体の中にある鎮痛作用を促す方法」についてお伝えいたしました。
この鎮痛作用は人それぞれ違いますし、その時の精神状態や健康状態(いわゆる自然治癒力)によっても変わってくると思います。(これらの詳細についてはまた別の記事で更新します)
次回は、「② ①以外の身体調整作用」について説明していきたいと思います。
それでは、また!!