こんにちは。鍼灸マッサージ師のいしわたです。
「治療院や鍼灸院などで、東洋医学とは、と説明されたけど、そもそも東洋医学って何?」
「東洋医学ってアジアのこと?中医学の事??日本の医学の事??」
「西洋医学と何が違うの?」
普段あまり関わりがない方が大半だと思います。少しでも東洋医学の事を知ってもらいたいので、東洋医学について歴史から治療法についてざっくり説明していきます。
ぜひ参考にしてください。
目次
1. 東洋医学って何??
1−1、そもそも東洋医学はどうやって日本に伝わって来たの?
紀元7世紀ごろ、遣隋使や遣唐使として中国に渡った留学生や僧侶が、当時の最先端医学である中国伝統医学(東洋医学)を日本に伝えたそうです。これが日本における本格的な東洋医学の幕開けとされています。
その後、飛鳥奈良時代から江戸時代に到るまで、日本の独自の文化、伝統、風土と融合しながら進化を続けました。江戸時代後期に入ると、オランダの西洋医学が日本上陸し、また1883年には、西洋医学の普及を推進する明治政府により、医師になるための資格試験を西洋医学に定める法案が国会で決議され、東洋医学はこの時点で、主役の座を西洋医学に譲ることになり、その後衰退の道をたどります。
しかしそんな時代の中、昭和になってから手軽に服用できるエキス剤や漢方薬が作られ普及したことがきっけとなり、じわじわと再び東洋医学が注目され、再び復興の道を歩み始め、今日に到ります。現在では、西洋医学よりも副作用が少ないこと、原因がはっきりしない症状や慢性的な症状に効果があることが広く知られるようになり、鍼灸や漢方薬といって東洋医学を治療に取り入れる人が急増しています。
1−2、東洋医学の考え方
「東洋医学」は「陰陽、五行、天人合一」といった古代の自然哲学をもとに中国各地に自然発生的に起こった医療技術を結びつけ、東西南北中部の自然環境と食生活を反映する形で発達を遂げ確立しています。
1−3、東洋医学の整体観念
東洋医学では、「天人合一思想」といって、人間が自然環境の変化に大きく影響を受け、その変化に応じた働きを人体がすることから、「人と自然(宇宙)は統一体である」と言う考えがあります。さらに、人体の各臓器、組織や諸器官はみな違う機能をもちながら、一方で有機的なつながりを持った「統一体」となっています。
また、四季の移り変わりなど自然界の変化は、五臓六腑や気・血などにも影響を与え、五臓の気は、それぞれ「春・夏・長夏・秋・冬」に旺盛となります。このように人体を自然になぞらえることで、東洋医学を論理的、哲学的に説明することが可能になっています。
1−4、東洋医学の人体の考え方
東洋医学では、「気・血・津液」が人体を構成し、生命を保つための基礎的な物質とされています。これらは、飲食物の栄養分である「水穀の精微」と、自然界の清らかな空気「清気」を元に作られ、人体の生理活動を推進します。気・血・津液は「五臓六腑」で作られた後、「経絡」と言う通路を通り、全身に運ばれることで、その働きを発揮します。
この「五臓六腑」とは、
「肝・心・脾・肺・腎」
五臓=「六腑によって取り出された飲食物を元に、気血津液を作りそれを貯蔵するもの」
「胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦」
六腑=「飲食物の消化運搬をするもの」
これらの臓腑は、「解剖学的に同じものでも、考え方や機能は現代医学の内臓とは全く違うもので似て非なるもの」です。東洋医学独特のそれぞれの機能に付けられた名称と考えた方が良く、その機能が現代医学でいう臓器より幅広いとされています。それぞれ単独に機能するものではなく、相互に助け合って各臓腑と身体各組織、各器官、さらには感情活動などの間にも存在しています。また、自然環境や生活環境とも密接に関係し合い、その影響を受けて活動し変化しているのです。
2. 西洋医学と東洋医学の違いについて
西洋医学と東洋医学の違いを理解することが、最も東洋医学の魅力を理解できると思うので、表にまとめてみました。
西洋医学 | 東洋医学 |
「病名・病気」を対象 | 局所の治療も全身の不調と考え、 「病人」を対象 |
他覚的所見と精細な検査のデータを基にした「病名」を重要視 | 患者の自覚症状を重んじ、病める患者の病態を観察して、治療に直結 |
病巣排除を目的とした治療 | 全身を一つの有機体と考え、 病巣のみでなくその関連器官全てを含めた治療 |
検査で異常がなければ病気とされず、不調を訴えても治療が行われないこともある | 検査で異常が現れない不定愁訴でも、自然治癒力を高めることで、改善できるという考えが基本 |
健康=データ的にも病気が見つからない状態 | 健康=気血津液がスムーズに巡り、五臓六腑のバランスも良い状態 |
病気の原因を突き止めることに主体が置かれる | 病人の苦痛を和らげる為に現実的にどう対処するかに主体が置かれる |
3. 東洋医学の治療内容について
東洋医学では、人体を構成する最小単位である「気・血・津液・五臓六腑」などがそれぞれ連結しあい、生命として全体をなす有機体として考えます。また、東洋医学では、自然治癒力(東洋医学では「正気」)を高めて外的な病因(邪気)をはねのけ、またバランスの乱れた身体の状態を正常に戻すことを基本的な治療原則としています。
その為、季節・ストレス・生活環境などで、身体のバランスが崩れ、自然治癒力で排除できない病気の攻撃を受けた場合は、病巣部の直接的な治療だけでなく、病巣と関連した他の部位の治療、また全身のバランスの調節など、複合的な治療が可能となります。
また、現代では健康診断では異常が見つからなくても辛い症状がある時などがある状態を東洋医学では、未病(=健康と病気の間の状態)といい、「未病治」=本格的に病気となる前に正常な身体の状態に戻す治療。これらの予防医学が最も大切と考えています。
東洋医学の治療は、「鍼灸やあん摩指圧などの手技療法、漢方薬による治療」が代表的です。鍼灸やあん摩指圧の治療とは、経絡とツボへの刺激を利用した治療のことで、ツボへの刺激で経絡を通る気血の流れを促す。漢方薬治療は、生薬の薬理効果を利用した治療法です。
4、まとめ
いかがでしたでしょうか?
おそらく、何も知らない方が東洋医学についてこの記事を読んでも、すぐには理解するのが難しいかなと思います。
正直これでもかなり色々省いてますが、西洋医学である病院の治療で育って来た我々にとっては、理解しにくい所が多々あるかと思います。でも最初はそんなもんだと思います笑
まぁ、ざっくりでもなんとなくでも理解していただければ幸いです。
では、また!!